働くルール
キングコング西野さんが吉本興業を退社したことが話題になりました。その際、(吉本興業の)会社員に夜中24時にLINEをするのは論外だ!と先輩芸人から叱られたという。
確かに極端な事例で程度の問題ではあるのだけれど、雇用契約にある根本的な問題と通じているとも思うんです。
ブラックの定義
ブラック企業の定義は明確ではないようだが、違法行為、不法行為、脱法行為などを伴って不当労働が行われている、あるいはパワハラなど人権を踏みにじる行為が行われている企業をブラック企業と呼び、対義語としてホワイト企業が生まれたと考えられます。
仮に残業が多い(と感じる)会社があってもそれが法定内の残業時間で、きちんと法律に違反しない対価が支払われていればホワイトということになる。反対に若干の残業でも対価が支払われていなければブラックといえる。
「ウチは残業多くてブラックだわぁ」みたいな話の際には、案外、その辺りは精査されてないかも知れない。冒頭の24時のLINEも総労働時間が基準を満たしていて時間外労働として賃金が支払われていればブラックではないということになってしまうのだが…。
法令遵守すればよい?
例えば、フリーランス=個人事業主であれば、仕事を受けるのは雇用契約ではなく、業務委託契約となる。残業という概念はないので、法令上は深夜に仕事をしても問題はない。実際、建築関係などで一人親方というやり方で仕事が進められている。雇用から業務委託に契約の形が変わるという、考えようによってはテクニカルなことで違法を回避出来るわけだ。
また、ボランティアとして募集した人に一定の作業をしてもらったとしよう。ボランティアなので報酬はないが雇用契約ではないから法律上も問題ないはずだ。では、気持ちばかりのお礼として謝金を渡したとしよう。それが最低賃金に満たなかったら違法なのだろうか。
契約形態によって働く人の自由意志かどうかということが分けられる、つまり、雇用関係においては被雇用者(=働く人)の自由意志は働かないということが前提とされているように見える。本当にそうだろうか。
逆に会社で労働者がもっと仕事をしたいと思ったとき、残業をさせないためにそれを止めるのはどうなのだろうか?自由意志を尊重しなくてよいのだろうか。
これは割と根源的な問題だと思っていて、働くということをどう捉えるのか、難しいところにあると思う。
働くことは悪いことなのか
法律は守らなくてはいけないし、健康を損なうような働き方はもちろん良くないけれど、今のルールの前提は働くことをネガティブに捉えすぎてはいないか?とも思う。
労働は対価としての給料を得るための行為である一方で「人はパンのみにて生きるにあらず」であって、仕事はやりがいや生きがいに通じるものでもある。
趣味やボランティアなら自由にやっても良く、仕事だと問題となる。個人事業主ならいいけど勤め人はダメ…どうも腹に落ちないものが残ってしまう。
テレワークや副業など、これからの働き方は従来の考え方や法律では対応が難しい。あらためて本質的な問題と捉えて考えていきたいと思う。
僕は中小企業家同友会という団体で、経営者としての勉強を続けている。同友会には『労使見解』という基本文書があって、経営者と労働者は対等な関係であり、最も重要なパートナーだとされている。
中小企業という、オーナー経営者が多い形態のなかで経営者と労働者が共に主体的にかかわり合うことを模索する内容。雇用関係にも良い点がいっぱいある。フリーランスでなくとも主体性をもって仕事ができないはずはない。
1974年にまとめられた文書だけれど今日的意味はむしろ大きくなっているのではなかろうか。
この記事の投稿者
福士宗光
父から継いだ酵素製造と、自身はヨガ素人ながらヨガスクール運営を行っているケルプ研究所2代目経営者。
健康は食生活や適宜の運動を通じて自分自身で築き上げるもの。酵素とヨガでお手伝いすることが使命と考えています。