時代の変化を感じ取る|超低金利は歴史の歯車が動くサイン

 

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先日のブログ( 時代の変化を感じ取る|エクスマセミナー in 比布 )でちょっと触れた低金利の時代が長く続く意味について。

懇親会の場で藤村先生と直接お話しする機会もありました。話題は金利のこと。ボクは、一応、もと銀行員なので・・(笑)

今のような低金利が長期間続く状況は金利という概念が生まれてからの5000年の歴史上2回しかない。これが何を意味しているかというと、従来の仕組みの中で(全体としては)経済が成長する余地がなくなっているということ(長くなるので詳しくは別の機会にしますが、金利水準は利潤の水準と近似値といえるからです)。

もう少し詳しくってコメントいただいたので書いてみました。

ホントに長くなっちゃいましたので、読む人は覚悟してね(笑)
なお、利息の計算には税金などは省略しています。

0.01%の金利って…

皆さん、今、定期預金の金利がどれくらいか知ってますか?利率が低すぎて関心がない方も多いんじゃないかな?(僕はそうですね)

長い間、超低金利の期間が続いている証左ともいえますが・・調べてみたらメガバンクでは押しなべて0.01%程度。仮に100万円を預けたとして一年間で受け取る利息は100円。1億円の預金があっても一年間で1万円です。

僕が銀行に就職した昭和60年(1985年)頃は5~6%程度でした。計算しやすいように5%とすると、100万円を預けると一年間で5万円の利息。現在の預金1億円の利息の5倍だったんですね。
1億円で5%だと500万円。一年間で500万円あれば働かなくても暮らせますよね?少なくとも札幌だと十分暮らせます。

この違いが何を意味するのかっていうこと。

金利水準が表すもの

預金をする人は銀行に預けて利息を受け取ります。これを銀行の立場からみると、預金者に利息を払ってお金を借りていることになりますね。

銀行は、なぜ、預金者からお金を借りるかというと、誰かに貸すためです。金融業ですから(笑)そして原則的には借りるために支払った利息より、貸すことでより多くの利息を得られるからそういう行動をとる。そうしないと儲かりません(この支払利息と受取利息の差を利ザヤと言います)。
そして、銀行が誰にお金を貸すのかというと、主に企業です。企業は、仕入れ資金だったり、設備投資の資金を銀行から借りる。

約30年前は定期預金金利が5%だった。預金は普通預金とか、当座預金とか、金利の低いものもあるから、平均して銀行の資金の調達コストが仮に3%だったとしましょう。銀行が2%の利ザヤ(儲け)をのせて、5%で企業に貸すとする。

企業の立場で考えるとどうでしょうか?なぜお金を借りてまで原材料を仕入れたり、設備投資をするのでしょうか?
当然ですが、利息を支払っても資金をつかって商売をした方が儲かるからです。この例でいうと5%以上の利潤を得られると考えているのです。

金利水準が表すもの、もうお分かりですよね。

「ポスト近代」の転換期

金利は様々な要因で動きますが、長い期間で考えると経済の状況を反映するのです。つまり景気が良ければ金利はあがり、悪ければ下がる。

法政大学教授の水野和夫氏は、読売新聞の「超金融緩和」社会の行方はと題したインタビュー記事の中で「超低金利は歴史の歯車が動くサインでもある」として以下のように語っています。

金利には5000年の歴史があるが、複数年にわたり長期金利が2%を下回ったのは過去一度しかない。
中世から近代への移行期である1600年代の初め、イタリア・ジェノバでのことだ。歴史家F・ブローデルが「長い16世紀」(1450-1650年)と呼んだ大転換期の終期だ。
長期金利は、資本が生み出す「利潤率」の近似値と考えられる。それがゼロ近辺に張り付いているのは、グローバル化で世界が開発し尽くされ、利益が得られる「フロンティア」が消滅したことを意味する。
資本主義そのものが限界にきたのだ。「長い16世紀」と同様、その時代の社会システムが崩壊する過程に入った。

(読売新聞 2018年3月23日朝刊 「論点スペシャル」より抜粋)

もちろん、資本の集約が進み個別にみると極端に儲かっている人もいます。ただ、そうではない人が多くて全体として利潤率がゼロに近づいていくということ。

イタリア・ジェノバでは、地中海の経済圏にフロンティアがなくなり、結果として、より広い世界へ漕ぎ出すこととなった。今の超低金利は「ポスト近代」への過渡期だという歴史認識ですが、しかし、地球上に新しく漕ぎ出す海はもうない。どうなるのでしょうか。

同じインタビュー記事の後段で、水野氏は「ポスト近代」を以下のように予想しています。

あえて具体的にいうなら、グローバルでなく、閉じた区域でも自給が可能な世界。欧州連合(EU)がこれに近い。トヨタ自動車が3年前に出した新株にも新時代の空気を感じた。配当は低く、譲渡制限があって流動性は低いが、元本は保証する仕組み。つまり強欲ではなく穏かなイメージだ。

より詳しく知りたい方は、数年前にベストセラーになった水野和夫氏の「資本主義の終焉と歴史の危機」(集英社)(←アマゾンに飛びます)をご覧ください。

「資本主義の終焉と歴史の危機」水野和夫

「資本主義の終焉と歴史の危機」水野和夫

恐らく、社会システムの行き詰まりというのは、歴史上、何度もあったハズ。その度に、例えば戦争などによって富の再配分が行われてきた側面があるのかも知れません。
現実として核兵器が存在する現代は、大きく富の再配分が起こるような戦争は起きない(起こしてはいけない)。転換は時間をかけてゆっくりと進むのでしょう。その間、資本の集中はまだしばらく進む。

さて、身の丈に合わない大きな話になってしまいましたが(笑)、仮に資本主義が全体としてこのように進んだとして、実際のところ、ボクたちは、どのように振る舞えば良いのか。閉じた区域でも自給が可能な世界ってどういうこと?そのヒントが前回のブログに書いたエクスマセミナーでの藤村先生のお話の中にあった。そう感じたというお話です。

「3つのF」が価値になる

先日のエクスマセミナーでサインをもらえた藤村先生の新刊「3つのF」が価値になる

 この記事の投稿者

福士宗光

父から継いだ酵素製造と、自身はヨガ素人ながらヨガスクール運営を行っているケルプ研究所2代目経営者。

健康は食生活や適宜の運動を通じて自分自身で築き上げるもの。酵素とヨガでお手伝いすることが使命と考えています。

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