商品やサービスは器に過ぎない?|ビジネスが届けるもの
「商品やサービスは、理念をのせる器である」
中小企業家同友会の札幌支部総会の記念講演で聞いた宮城同友会のパンセというパン屋さんの社長のお話の中の言葉が心に残っています。
同友会では、理念、ビジョン、方針、計画からなる経営指針を実践することが大切にされていますが、「理念・哲学をお客様に感じていただけているか?それが商品とサービスに反映しているか?」と常に自社内で問いかけながらPDCAを回しているようでした。40代での創業、57歳での業態転換。とても参考になる報告でした。
心に残ったのは「商品やサービスは、理念をのせる器である」という言葉。もちろん商品であるパンが美味しいことは欠かせませんが、それは、パンの味や空腹を満たすだけではなく理念を届ける器だという。
「世界観」への共感
エクスマ(エクスペリエンス・マーケティング)というマーケティングの考え方を伝える藤村先生は「世界観」という言葉を良く使われますね。
商品やサービスは今の日本では大きな差はなくて、すべて素晴らしい。
商品そのもののスペックではなくて、世界観への共感や関係性のなかで消費が起こる。どのメーカーの商品を買うか、というよりどのお店で買うか、さらには誰から買うか。
僕の会社は酵素という健康飲料の製造販売とヨガスクールの運営を通して、お客様の健康のお手伝いをするという仕事をしている。
つい酵素は何に効くか、ヨガのレッスンは他のスクールとどう違うか、というようなことに(大切なことではあるけれど)拘泥しがち。
目指す姿や生活をもっと発信する、その支えに商品やサービスがある、ということになりたいですね。
例えば食品は、栄養を摂取し、生きていくために不可欠なものです。それは事実なのだけれど、食品という商品のなかで栄養という不可欠な部分が(少なくとも今の日本においては)どれほど購入決定の要因となっているのだろうか。
実際に流通している食品の価値が生きていくための栄養だけだったら、今のようなたくさんの種類の食品は要らないはず。
例えば車。車の第一義的な価値は移動、あるいは荷物の運搬にあると思います。
でも、軽自動車から何千万円もする高級車までありますね。同じ公道を同じルールのなかで走るのにサイズもスペックも凄く幅広い。どう考えてもオーバースペックというものもある訳です。
逆にどんなに素晴らしい商品でもあの人からは買いたくないな、そんな風に思われるとビジネスとしては成立しにくい。ま、誰にでも好かれる必要はないと思いますけどね。
この記事の投稿者
福士宗光
父から継いだ酵素製造と、自身はヨガ素人ながらヨガスクール運営を行っているケルプ研究所2代目経営者。
健康は食生活や適宜の運動を通じて自分自身で築き上げるもの。酵素とヨガでお手伝いすることが使命と考えています。