酵素は加熱していいの?|お客様のご質問から

 

 酵素

酵素は加熱しても構いません。

「酵素は加熱していいの?」お客様からこういうご質問がありました。

近年、酵素ブームといえるほどの活況があり、たくさんのメーカ―が現れました(元々は日本で5社ほどが地道に作り続けてきたものなんですけどね)。

その過程で、いろんな謂わばスペック競争があったのですが、その中に「加熱・非加熱」という議論があったのですね。いや、今もあるのかな。ご質問がくるのですから。

背景には、瓶詰した時に加熱殺菌をしていると品質が悪いという一種の都市伝説のようなものがあるからです。

ケルプ研究所 創業当時の発酵室

ケルプ研究所 創業当時の発酵室

都市伝説の理由

酵素飲料が「酵素」と呼ばれることになったのには諸説あるのですが、発酵という過程で酵素が関わるので、結果として追認されてきたのかなと思います。

タンパク質である生体内の酵素と、食品・飲料としての酵素は意味が違うので、一時は、酵素を製品名にすることはまかりならんというお沙汰もあって、業界で「植物エキス発酵飲料」という製品の実態を表す名称を制定した経緯もあります。

なぜこんなお話をするかというと、「加熱・非加熱」という議論と絡むからです。

タンパク質は温度やpHの変化によって分子の高次構造が変わり失活するというのは割とよく知られている話。

一方で飲料としての植物エキス発酵飲料は、食品衛生法の規則に沿って加熱殺菌をするのがルール。

酵素を加熱すると品質が悪いという都市伝説は、生体内の酵素(タンパク質)と食品・飲料としての酵素(植物エキス発酵飲料)を混同しいることが元になっていると思われるのです。

つまり飲料だから加熱殺菌をする、それによって製品中の酵素活性は失活するから効果・効能はなくなってしまう、という論理です。

タンパク質はアミノ酸になって吸収される

そもそも食品である以上、効果・効能を謳うには一定の条件が必要なので、その時点で法律的にアウトなのですが(笑)、サイエンスとして考えても酵素活性と機能性を結びつけるのは無理があります。

高分子化合物であるタンパク質たる酵素がそのまま体内に取り込まれることはないからです。

まず胃酸のpHでほとんどのタンパク質は失活するはずです。そして消化の過程でタンパク質の構成単位である分子量の小さいアミノ酸というものになってから吸収される仕組みになっている。タンパク質は酵素としてだけではなく身体を構成する大切な成分。摂取することは大切なのですが、そのままの形ではなくてアミノ酸に分解されてから吸収される。

逆にいうとタンパク質がそのまま身体に取り込まれることはむしろリスクなんですね。個を維持することにとって。

ということで液体状の酵素は基本的に殺菌されて酵素活性もなくなっているはず。もちろん活性が残っていても、吸収する段階では失活しますのでリスクはありませんが。

購入した製品をグツグツ煮込んだりすることは必要もないしおススメもしませんが、加熱・非加熱ということをあまり気にする意味は実はないのです。

 この記事の投稿者

福士宗光

父から継いだ酵素製造と、自身はヨガ素人ながらヨガスクール運営を行っているケルプ研究所2代目経営者。

健康は食生活や適宜の運動を通じて自分自身で築き上げるもの。酵素とヨガでお手伝いすることが使命と考えています。

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