薬と食品の違いとは|薬機法を理解する
食品製造には幾つかの法律が関係しています
業として食品製造を営むにあたって幾つかの法律が関係してきます。中心になるのがまさに業としての許可にも関わる食品衛生法。
飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止して食品衛生を確保するという目的で工場の設備や製造方法などに関して定められています。
製造する食品の種類によって規格基準が定められているものもあり、具体的に示されています。
一方、食品のなかでも「いわゆる健康食品」には、通称「薬機法」(「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)が関わる場合があります。食品製造側から薬機法をみるとなかなか分かりにくい。そもそも食品のためではなく、薬のための法律ですから…。
この薬機法について考えてみます。
※記すことはあくまで私の個人的な理解です。具体的な事例に関わることは行政や専門家にご確認くださいね。
医薬品とは?
薬機法は旧薬事法で医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止を図ることが第一の目的に掲げられています。
そして医薬品は以下のように定義づけられています。
第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
|
この中で薬のリストに収められているものであるという一項と、病気の診断や治療、予防に使用されるものという二項は分かりやすいです。
三項はやや解釈が難しい。口から入れるもので身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的としているものが薬だと書いてあります。
つまり(薬ではない)食品は食べても身体の構造や機能に影響を及ぼさない(目的にしていない)ということになります。
薬機法(≒薬事法)は「安全性を確保」したり「保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止」することを大きな目的としていますので専ら医薬品に用いられる(一定の薬理作用のなる)ものを食品に入れることも禁止されています。
では、逆に安全なものなら健康増進のために食べましょうと言ってもいいのでしょうか?
実はこれもダメで医薬品でないものが効果効能を標榜することで正しい医療を受ける機会を逸することで「無承認無許可医薬品の標榜」という罪になります。
食薬区分~食品と薬を何をもって分けるか
一方で健康のために一日30品目の食品を食べましょう、とも言われた時期もあります。あるいは、普通に言われている、例えば「健康のため緑黄色野菜を食べましょう」というようなことも薬機法上も問題になるのでしょうか?
ひとつの解釈として「食品は健康(状態)を維持するもの」であって構造や機能に影響を及ぼさない。30品目を食べるのも維持のためである。従って食品に関しても「健康を保つ」「健康を維持する」と謳うなら薬機法違反ではない(前後の文脈や広告全体で判断されるので一概には言えないが…)というものがあります。
食を通じて健康を保とうという考え方は一般的だと思いますが、あくまで「保つ」のであって、病気を治したり、健康増進を謳うことは一般食品においてはできないということなのです。
※近年、様々話題になっています「機能性表示食品」等につきましては別の機会に考えてみたいと思います。
食薬区分につきましては、もうひとつ、食品の見た目の形状についても論点があり、「健康のため緑黄色野菜を食べましょう」ということはダメではないという解釈がなりたちます。
長くなったので、このことは次の機会に。
この記事の投稿者
福士宗光
父から継いだ酵素製造と、自身はヨガ素人ながらヨガスクール運営を行っているケルプ研究所2代目経営者。
健康は食生活や適宜の運動を通じて自分自身で築き上げるもの。酵素とヨガでお手伝いすることが使命と考えています。