動物園とは何だ?
昨日は北海道中小企業家同友会札幌支部東地区会(長い!)の6月例会でした。
(⇒中小企業家同友会札幌支部のHP)
「変貌する円山動物園に学ぶ!!」というテーマ。
同友会は会員の経営実践事例を元に学ぶという例会が多いのですが、たまにどこかに出かけて行って見学をして学ぶ「見学例会」というのがあるのです。
例会の前半では、雪冷熱を利用した冷房やペレットボイラーなど動物園の裏側を職員の方にご案内いただくツアーだったのですが、同友会の別の会議で参加できず(とっても残念!)。
後半の元 旭山動物園園長の小菅正夫氏の講話のみ聴くことができました。
変貌する円山動物園に学ぶ
講師の小菅氏は、旭山動物園園長時代、閉園の危機にあった動物園を行動展示を取り入れて大人気の動物園にしてTVにも多数出演されていたことはご存じの方も多いですよね。
今は、札幌市環境局の参与という立場で円山動物園に関わっていらっしゃいます。
最初は動物園を取り巻く法律のお話。
日本では動物園を明確に規定した法律はないようで「博物館法」や「都市公園法」など関連する法律の中に位置づけを見出している。
また運営に関しても、ペット業者やサーカスなどと一緒に動物と関わる業者としてまとめられている。動物園の特殊性を担保する法律は、むしろ「鳥獣保護狩猟法」や「種の保存法」など、結果として動物園が重要な役割を担っているが、それは他に担い手がいないという事情のなかにあったりするようだ。
「動物愛護管理法」について。日本で唯一「愛」のついた法律だという。
曰く、「愛」は個別のもの。例えば、動物に服を着せたとする。それは「愛」かも知れない。でも着せる側の独りよがりかも知れない。極端な例では、傍から虐待に見える行為でも「愛だ」っていうこともありえます。
「動物福祉管理法」であるべきだという。福祉は動物側の立場、全体で考える。ちなみにこの法律の英訳は 「The Act on Welfare and Management of Animals」 。確かに福祉ってなってますね。
動物園は3000年前からあった~今の時代に求められる価値は?
ハッキリと記録に残っている動物園は3000年前の中国ということです。
長い歴史の中で、時代、地域によって、人々が動物園に求める様々な姿、それに応じて役割を果たしてきた。
動物園は不要だ、とか、あるいは野生動物を檻に閉じ込めるのはカワイソウだ、という声も、ときに向けられる今の時代、法律では明確になっていない動物園の存在理由をどこに見出せばよいのか。社会的役割は何なのか。これは職員の方のモチベーションにも関わってくる問題ですよね。
教育や研究、自然保護という動物園が担っている役割は小さくない。ただ市民が動物園で動物を見るということを娯楽と捉えてしまうと、野生動物の保護という部分と、どうしても相反します。
娯楽=Recreation=re-creation つまり再創造。感動的な展示を通して、野生動物と接すること、その姿から学ぶことが人間性の再創造につながると考える。それは野生動物保護の原点になるだろう、そんな想い。
動物園がやらねばならないことと、動物園にしかできないこと、それを明確にして、「自分たちが野生動物を守り、地球を救う」という使命感でお仕事をされているとのことでした。
野生動物を捕獲して、飼育して、展示するという基本の形は変わらないけれど、来園者に提供する価値は時代と共に変わっている。
円山動物園は札幌市の施設ですが、会社経営と同じように変化に対応し、価値を伝えようとしています。
この記事の投稿者
福士宗光
父から継いだ酵素製造と、自身はヨガ素人ながらヨガスクール運営を行っているケルプ研究所2代目経営者。
健康は食生活や適宜の運動を通じて自分自身で築き上げるもの。酵素とヨガでお手伝いすることが使命と考えています。