腹六分目
野生のサルは黄色いバナナを食べたことがない
40歳以上の日本人の10人に1人が糖尿病であるといわれています。潜在的な患者は2千万人に近いとも。
従来、成人病といわれ(現在は生活習慣病といっています)大人の病気だったはずの2型(インスリン非依存性)糖尿病の、10代の患者も珍しくなくなっている。小学生にさえいるのだといいます。
糖尿病は、大雑把にいってしまえば、コントロールできる量以上にブドウ糖がからだの中に入ってきている状態。「飽食の時代」の典型的な疾病です。
食糧が余るような、ここ数十年の状況は約400万年のヒトの歴史上きわめて珍しいこと。
私たちの身体は実は満腹に弱い。便利な世の中、運動量、カロリーの消費量も減っていますしね。
野生のサルは青いバナナを食べる。熟したバナナを食べる機会はほとんどないそうです。黄色く熟すまで待っていると他のサルに食べられてしまうから。
人間の手で熟したバナナを与えてしまうと、青いバナナには見向きもしなくなる。そして、黄色いバナナを与えつづけるとあっという間に病気になってしまうそうです。
祭り日食(まつりびしょく)症候群
「食品交換表」をご存知でしょうか。食事療法を行う糖尿病患者が具体的なメニューからカロリーを計算するためのハンドブック。
最初に目を通したとき、そのメニューをみて驚いてしまった。お刺身あり、肉もありで、一食のお皿の数も4~5皿はある。
機会があったら一度ご覧になってみていただきたい。制限されている、これではとても我慢できないと感じる方はそんなにいないと思います。
しかし糖尿病患者は増えつづけ、若年化している。つまりコントロールできない量のカロリーを間違いなく取り込んでいる。
自分たちが意識しないうちに食のベースが変わってしまっているのだと思います。
贅沢をしているつもりはなくても、かつて、お盆や正月にしか食べなかったような献立が日常のものとなっている。今日は贅沢なものを食べたとか、いっぱい食べたとかいったメリハリがなくなっている。
まさに「飽食」なのだけれど、それに気づかないこの状態を、私たちは「祭り日食症候群」と呼んでいます。
400万年かけてつくられた身体は変わっていない。カロリーを欲し、貯め込みたくてたまらない。そこに安定的に、否、あふれんばかりに「祭り日食」が用意されている。。。
腹八分目から腹六分目に
少量でも高たんぱく、高カロリーの加工食品、インスタント食品がたくさんあって、テレビの画面からつねに食欲にアプローチしてくる。24時間、いつでも時間も手間もかけることなく、食べることができる。
これからは、理性、知性の部分でコントロールしなければならないのかも知れません。
「腹八分目に病なし」
今と比べれば貧しい食生活の時代にすでに言われていたとすれば、「祭り日食」「飽食」の今日、当時の腹八分は腹六分くらいではないか、私たちはそうお伝えしています。
しかもこの「六分目」は感覚だけではなく、食べる量や栄養の質、生活の中身を、少なくとも習慣になるまでは、知性や理性でコントロールしなくてはならない。
ちょっと厳しいでしょうか。でも、そういう時代だと思います。
この記事の投稿者
福士宗光
父から継いだ酵素製造と、自身はヨガ素人ながらヨガスクール運営を行っているケルプ研究所2代目経営者。
健康は食生活や適宜の運動を通じて自分自身で築き上げるもの。酵素とヨガでお手伝いすることが使命と考えています。