酵素の誤解を解く その2|なぜ「酵素」と呼ばれる?

 

 酵素

『酵素の誤解を解く』という大仰なタイトルをつけたことを既に後悔し始めています‥しかも『その1』と書いてしまったからその2を書かない訳にいかない(笑)

 関連記事:酵素の誤解を解く その1|生体内酵素と食品酵素

前回は生体内酵素と食品酵素は、実は別物ですよというお話でした。では、なぜ別物なのに同じ呼ばれ方をしているのでしょうか。

酵素(植物エキス発酵飲料)だけが、なぜ酵素と呼ばれる?

食品酵素が「酵素」と呼ばれる説明として「製造の過程で酵素が関与しているから」というのが一般的です。

ただ、発酵食品というのは、今のようなバイオテクノロジーが発達する前、というか発酵の仕組みさえ分からない頃からそれぞれの地域の気候や地域の産物に応じて全国各地、いや世界各地に特徴のあるものが存在していて、そのすべてに製造の過程で酵素が関与しています。
日本の植物エキス発酵飲料だけが酵素と呼ばれるには何かきっかけがあったはず。その発端はどこにあったのか。

諸説ありますが、僕が聞いていることは以下の通りでこれはヨガライフスクールの機関紙『未来』に20年以上前に書いたもの。F&Eは当社の酵素のブランド名ですので、酵素と読み替えてください。

今、読み返すと若干精度を欠く部分があります。

F&Eの原形は、樹木の洞などに保存した果実や野草が自然発酵したものが傷や病気に効くという民間伝承です。

「酵素」という言葉が最初に使われたのは神道系創唱宗教である大本の出口王仁三郎師が蒙古(モンゴル)を訪れた折。道端の草を口に噛み「これが酵素だ。これから酵素の時代になる」といってその汁で怪我をした従者の傷を癒したと伝えられています。この従者の語り伝えに基づき技術の蓄積を経てF&Eが産れました。これが「酵素」の由来です。酵素と名のつく健康食品はいろいろあるようですが、この本流を受け継ぐのがF&Eです。

酵素という名称から生体内酵素と混同されることが多いのですがF&Eについては生体内酵素に力をつける、細胞を活性化する物質とご理解下さい。

ヨガライフスクール機関紙『未来』155号(平成10年11月5日発行)より引用

酵素の原形が民間伝承だという説は、大きな意味では間違いではないでしょう。
「酵素という言葉が最初に使われた」というのは厳密に言うと間違っています。”enzyme”と命名されたのは1878年。訳語として日本で「酵素」が用いられらのは1899年と言われています。出口王仁三郎がモンゴルを訪れたのは1924年ですから、後のこと。
ただ、酵素の本体がたんぱく質であることが証明されたのが1926年ですから、研究者はともかく、一般に酵素という言葉は知られていなかったと思われます。

一部の表現がやや(薬事的に)問題ありますが、生体内酵素とは別物だということはこの時点から変わっていない。

酵素農法による発展

また中に「技術の蓄積を経て」とサラッと書いていますが、主に土壌改良剤として研究されたと聞いていたことを指しています。

この辺りのことは、Kuninakaさんのブログ:酵素とは何か?酵素農法の歴史から考える に詳しい。

kuninakaさんとはツイッターの相互フォローの関係で直接お会いしたことはありませんが、ブログが精緻で引用文献やバックデータもしっかり整理されていますので、とても参考になります。

僕が「土壌改良剤」と聞いていたことは、kuninakaさんのブログにある酵素農法のことを指していて、島本さん、柴田さんなどのお名前も聞いていました。

小樽の大高酵素さんが食品酵素を事業化した(少なくとも世に知らしめた)最初の会社とされていますが、創業者の大高さんも大本の人。父が大高酵素さんにお世話になったのも大本がご縁。時間的にも地域的にもつながりがあって、端緒はここにあると思って間違いない。僕はそう思っています。

当初は議論のあった酵素の名称

実は大高酵素が世に広まりだした頃(父が大高酵素にお世話になっていた頃)、厚生省(今の厚労省)とは種々やり取りがあったらしい。「酵素」ではないじゃないか、という議論です。

大高酵素さんの商品は「大高酵素」と呼ばれますが、本来は会社名で商品名は「スーパーオータカ」です。また業界団体としては「植物エキス発酵飲料」を正式名称としている。議論が反映されているのかも知れません。

今や市民権を得たということでしょうか、植物性の発酵エキスが入っていたら「酵素」という名称が幅広く使われるようになりました。そういう時代だからなおのこと、生体内酵素と食品酵素は別物だという意識をしっかりしておきたいと思います。

 この記事の投稿者

福士宗光

父から継いだ酵素製造と、自身はヨガ素人ながらヨガスクール運営を行っているケルプ研究所2代目経営者。

健康は食生活や適宜の運動を通じて自分自身で築き上げるもの。酵素とヨガでお手伝いすることが使命と考えています。

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