あらためて「加熱した酵素ドリンクは無意味」への反論

 

 健康, 酵素

酵素飲料についての悪評

ここ5年ほどでしょうか、酵素がブームのようになって広く知られるようになりました。
その影響もあって、近年、多くのメーカーが現れました。かつては日本で5社ほどが長く製造販売してきたのです。
最近、少し落ち着いてきたようなので、昔から酵素屋を名乗っているメーカー各社は少しほっとしているのではないでしょうか。

市場がしぼんだ要因には時間がたって落ち着いたという面やアジアの越境ECに対する規制などもありますが、酵素飲料に対する悪評の影響もあったように思います。

耳にした悪評のうち、「飲むだけで痩せる」と宣伝して取り締まられた会社が批判されるのは当然なのですが、「飲料は加熱するので酵素が失活して効かない」という批判は理屈にあっていません。もうそろそろ打ち止めにして欲しいと思います。

結論を先にいうと「酵素は分解されないと吸収されない」つまり失活していない状態で身体に吸収されるものではない。活性のあるまま取り込まれるとのは、生命にとってむしろ危険と考えるべきです。

「加熱した酵素ドリンクは無意味」の理屈

典型的な例として昨年TBS系列で放送された「林先生が驚く初耳学!」。内容は、“市販の酵素ドリンクの酵素は死んでいる”だから“無意味”というもの。

その理由は、酵素は働くのに適切な温度があり、体内で働く酵素の最適温度は体温前後。そうした酵素は60℃くらいで活動を停止し死んでしまう(失活といいます)。ところが、日本では食品衛生法で65℃以上(85℃以上の場合もあり)で加熱殺菌しなければ飲料として販売できない決まりがあるため、せっかくの酵素は失活してしまう。

ゼリーを2つ用意し、1つは市販の酵素ドリンクの中に、もう1つは酵素が多く含まれている生のキウイフルーツをジューサーにかけた“生搾りジュース”の中に沈ませた。数時間後、生搾りジュースに沈ませたゼリーは、酵素の働きで分解されてドロドロになっていたが、市販の酵素ドリンクの中に沈ませたゼリーはほとんど変化していなかった、というもの。

この実験自体は正しいです。ただそれはシャーレや試験管の中でのこと。

酵素ドリンクの中の酵素活性は発酵工程では重要ですが(そうじゃないと発酵しない)、食べる、あるいは飲む時点では関係ない、消化吸収する際は必ず失活されるからです。

酵素はタンパク質、そのままでは吸収されない

酵素は加熱やpHの変動で失活します(胃の中の強い酸性で多くの酵素は失活します)。

失活するのは酵素がタンパク質でその立体構造が壊れるからですが、タンパク質であるということは、そもそもそのままで身体に吸収されるものではありません。
タンパク質の分子量(大きさ)は、小さいものでも1万前後、大きいものでは数十万になります。一方、身体に吸収される分子量は数百のレベルなのです。
タンパク質を構成するアミノ酸というレベルまで小さくなってから吸収されます。必要な酵素は必要な場所(生体内)で合成されているのです。

上記の実験で酵素活性があるとされた”生絞りジュース”の中の酵素も体の中に取り込まれる際には、当然失活しますし、失活せず他の生き物の酵素タンパクをそのまま取り込むとしたら生命としてはむしろ危険と考えるべきです。

F&E酵素

F&E酵素

自業自得

そもそもは、足りない酵素を補給するという言い方で酵素ドリンクを説明する「酵素栄養学」に依拠するメーカーや販売関係の方が多いのがもともとの原因と思われるので業界の自業自得ではあります。

ただ、番組で実験まで入れて取組むのであれば、しっかりとやって欲しい。この件については、何年も前から説明の仕方が間違っていると指摘してきたつもりですが、今更ながら、自分自身の影響力の小ささを思うとともに発信続けないとな・・と思います。

ちなみに弊社で酵素飲料について様々な実験を行う際には(当然ですが)加熱殺菌したものを用いて効果を確認しています。

 この記事の投稿者

福士宗光

父から継いだ酵素製造と、自身はヨガ素人ながらヨガスクール運営を行っているケルプ研究所2代目経営者。

健康は食生活や適宜の運動を通じて自分自身で築き上げるもの。酵素とヨガでお手伝いすることが使命と考えています。

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